会話シーンでの「説明」について
投稿日:2015年10月14日 | 最終更新日:2015年10月23日
「会話による説明が、うまくいきません」
こんな相談を新人のライターさんから受けることがあります。
実際に、そのシナリオや小説を確認して原因を検証してみると、「そのシチュエーションでは、ありえないような不自然なセリフを話している」というケースがあります。
いわゆる「説明ゼリフ」を、長々としゃべらせてしまっている、というミスも多いですね。
おそらく書き手は「この設定を、しゃべらせなきゃ」「お客さんに伝えなきゃ」という思いがあまりに強くて、「キャラの思考」を無視してしまったのでしょう。
しかし読者は常に「キャラクター」に、興味があります。
その「キャラ」が「ブレた瞬間」にお客さんは一気に冷めてしまって、作品に対して興味を失ってしまいかねません。
説明するシーンにかぎらず、キャラの掛け合いを書くときは、まずはキャラの視点に立って、
『このときこのキャラは、どんなことを思い、考えているんだろうか』
『その結果、何をどうしゃべるだろうか』
ということをよく考えて書いていくようにしましょう。
読者は、そんなキャラの掛け合いを読んでいるうちに、いつのまにか設定について理解している。そうなるよう、お客さんに伝える情報を調整しながら、表に出すようにしましょう。
また、キャラが『説明ゼリフ』をしゃべっていても、おかしくないシチュエーションを作るという方法もあります。たとえば、その世界についてまったく知らないキャラを登場させて、その子に別のキャラが説明してあげるというシチュエーションを作る、とかですね。
設定を伝えたいというのは、あくまで『作者の都合』です。
そんな作者の都合よりも、『キャラの都合』が優先されるように書いてみると、ぐっと面白い小説やシナリオになると思います。